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「島よ」演奏に当たって

kanazawacapella

 何の因果だろうか。


 今年は大中恩生誕100年記念ということで、数ある名曲の中から迷うことなく選んだ作品「島よ」。それが今回の能登半島地震と結びつくとは。


 私の生まれは能登は奥能登。中学生の時、金沢に転校して来たわけだが、その時、新担任から朝鮮から来た新入生だと紹介を受ける。今はそのような会話は絶対許されない話し方だが、金沢から見れば確かに遠い。風光明媚な半島で、その中で静かな内浦にひっそりと佇む見附島。


 その島はもともと大小の島が二つ、親子のように愛らしく優美な佇まいを見せていてくれた。子島は何回か続く地震でとっくに無くなり、親島は長年の自然現象で少しずつ砕け落ちるも、何とか今までその優美さは保たれて来た。

 2000年に一度起きるかどうか、と学者から言われる話し方でその地震の大きさが分かる。今回の能登半島地震で多くの死者を出し、観光資源も多大な影響を受け、半島全体がガタガタになってしまった。


 「島よ」の島は具体的にどこにあるのか、という話し合いが以前もたれたことがあったが作詩の伊藤海彦氏によると具体的には存在しないらしい。

ならば私は生まれ故郷の珠洲沖に浮かぶ見附島にイメージを重ねる。

何か珍しい物があるかも知れないと宝島のように憧れ、見続けてきた見附島。


 今は見るも無残な姿になり果ててしまったが、私の脳裏には悠然と佇む親子の見附島が焼き付いている。

 無念にも命を落とされてしまった方々に想いをめぐらし、鎮魂の気持ちを持って演奏を目指すつもりである。


 ― 島よ おまえは 私ではないのか ― ※  のフレーズに出て来るかけがえのない愛おしい島を求めて。

山瀬 泰吾



第18回『新しい風コンサート』

~ 女声合唱団 杏30周年・金沢カペラ合唱団20周年記念 ~


2024年7月6日(土) 14時開演

金沢市アートホール



※ 大中 恩「島よ」混声合唱曲 (1947) より引用


 
 
 

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