今回三善先生の曲集から選ばれた5曲、一体誰が選んだのか、(大体わかってますけど)なんと秀逸なこと!私達を変幻自在に歌わせてくれました。
最初の「道」どう進むべきかを模索中の少女の気持ちを爽やかに、次の「爪紅」では、大正から昭和の少女雑誌に出てくる儚げな少女画を思い浮かべて、歌いました。「わりばしいっぽん」では、まだ澱んでいない眼をした素直な子どもの心を思いだし、高らかに歌い上げ、そして「ラ・メール」最初品行方正(?)な私は何だか意味深な歌詞と曲の感じに違和感を持ち、躊躇しながら歌っていたのに…。練習を重ねるにつれ、歌い放つ高揚感を味わいました。私はあの「ポニョ」のグランマンマーレを勝手にイメージし、一番のお気に入りになりました。最後の「きこえるかしら」は幼い日、楽しみにして視ていたアニメを思い出し、懐かしく歌うことができました。
三善先生は難解な曲が多いという勝手な印象でしたが、なんとバラエティーにとんだ曲を作られていたのだと、改めて先生の偉大さを感じたステージとなりました。
それからコンサートでの一コマ、前日のリハーサルの時、「声が舞台で留まっている、歌声をもっと遠く高く響かせろ!」との山瀬先生の言葉に、ふと児童合唱団のリハーサルで、同じことを言われたことが甦ってきました。あの時は「観光会館の一番奥の扉まで声を届かせるんだ!」でした。
うわぁー、先生の指導は変わってないなぁと、つい口元がほころびました。そして、コンサート終了時に数十年ぶりに会った後輩から、「あなたの歌い方が変わってないからすぐわかりました。」と言われ、な-んだ私も変わってないんだと、再確認しました。
聴きにこられた方のうれしい感想に、歌うことの楽しさが少しでも伝わっていたことが、何よりうれしいコンサートとなりました。
(田辺さん)


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