《寄稿》「第20回 新しい風コンサート」参加に寄せて
- kanazawacapella
- 6月24日
- 読了時間: 3分
🟦6/28私が金沢で歌う理由 その➂ ~44年前の「一陣の風」に憧れて~ 🟦
「♪せせ~らぎ~」。
ホールに明るく響き渡るソプラノソロ。導かれるように流れるコーラス。まるでホリゾント転換のように瞬時に変わる色彩豊かな音色。そして、ステージから吹き抜ける一陣の風のような爽やかな歌声…。
今から44年前、昭和 57年(1982年)秋、松任文化会館で開催の「石川県合唱コンクール」。そこで、山瀬泰吾先生指揮・金沢二水高等学校合唱部が演奏したのは「雲雀にかわれ」(合唱曲「わたしの願い」より 高野喜久雄・作詩/髙田三郎・作曲)。約100名の合唱団の揺れる音楽。そして吹き抜ける「風」。合唱人生の中で初めての経験。この演奏を聞くことが出来て本当に幸せだった。44年経った今も、その時感じた「風」を私は忘れない。
「風」と言えば…。
今年のゴールデンウィーク、家族で訪れた沖縄。4日間の滞在で訪れたのは「今帰仁城跡」「辺野古埋立地」「嘉手納基地」「首里城」「平和祈念公園」「ひめゆりの塔」ほか…。歴史を辿る旅だった。出迎えてくれたのは生暖かい風。梅雨入り前の沖縄特有の風。しかし、今から30数年前、沖縄を初めて訪れた時に感じた風とは全く違う風だった。平和ボケしているのか…、鈍感になっているのか…。
沖縄初訪問は、東京 TBS報道局勤務時代。我が師の1人、ニュースキャスターの筑紫哲也氏の誘いで取材に同行した。「沖縄を学べ」が氏の教えだった。戦後 50年を迎えようとしていた当時の沖縄。戦争の傷跡が癒えることのない人々。沖縄戦の悲惨な話を、時間をかけて聞いた。重く澱んだ空気。そこに「風」は感じなかった。まるで台風の目の中に入ったような重い空気…。
話を終えると、沖縄料理と泡盛による宴が始まった。徐々に弾む話。その中に混じる本土への厳しい声。当時は、受け止めるだけで精一杯だった(この時の経験は、後年、私がプロデュースした報道特別番組「沖縄返還50年『密使』若泉敬からのメッセージ」の中に活かされる)。酒と話が進み、いつしか三線の音に誘われ歌が始まった。立ち上がって踊り出す人々。時を共有して、ようやく心に「風」が吹くのを感じた。島唄は「沖縄の風」に乗って空へと舞い上がる。疲れなど、どこ吹く風…。あっという間の5時間だった。
さて、今回のコンサートで演奏する「山尾三省の詩による三つの混声合唱曲『歌のまこと』」(信長貴富・作曲)。この中に「沖縄」が登場する。譜面からは、「沖縄の風」が感じられる。30数年前、初めての沖縄で感じたあの「風」だ! 作詩者・山尾三省は、自然の中に「いのち」の今と意味を見出したという。「風」のように、ただ今を生きること、日常に深く生きることの静かな喜びを謳った。それは、曲の中で共感を持って歌われる。
泰声会音楽監督・山瀬泰吾先生曰く、「今回のコンサートのテーマは『いのち』」と。生まれ出づる「いのち」の始まりは「息をすること」。そして、「息すること」は、日々の営みの中の「風」を生む。「バタフライエフェクト」「風が吹けば桶屋が儲かる」…。巻き込まれる「風」ではなく、自らが吹かせる「風」でありたい。さまざまな思いを乗せた、いのち溢れる「風」でありたい。44年前に山瀬泰吾先生と金沢二水高校合唱部の演奏に感じた「風」のように。
6/28金沢での「新しい風コンサート」。果たして、どのような「風」が吹くか…。楽しみである。
前川 佳之 様
3回シリーズで熱く語ってくださいました。
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いよいよ本番は今週末!ぜひお誘いあわせの上、ご来場ください。
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第20回記念『新しい風コンサート』
日時:2026年6月28日(日)14時開演
場所:金沢市アートホール
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